南国の隅っこ(新)

メキシコ南部の田舎町でカメとイグアナと犬と猫と鳥と暮らしてます。日々の記録。

家にタランチュラが出たらどうするか

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 メキシコも無事に明けました。今年もなにとぞよろしくお願いいたします。

 

 

 さて、今日は新年早々、なかなかに良いネタが転がり込んできました。だいたいが、何の役にも立たない変な動物の変な話ばっかりのこのブログですが、たまには世の中に貢献できる記事を!!

 そう、家のなかにタランチュラが出たらどうしたらよいか? タランチュラあるあるですね。きっと日本の皆さまも日常的に出くわすであろうこの巨大鳥喰蜘蛛*1に、どう対処すべきか。それを実践した2019年元旦でした。別に、正月のお屠蘇で酔っぱらってるわけではありませんw ていうかメキシコでお屠蘇とかないし。ワインはちょっと飲みましたけど、もう抜けてます。

 

 というわけで、あるあるかどうかは別として、記事にして残しておこうと思います。

 近所に住んでる日本人の友人Sは年末年始、ベラクルスにある旦那さんの実家に行っている。そこには、亡き義母さん*2の住んでいた家が、今は空き家になって残っているとのことで、Sは今日、その家に行ったわけだ。そこで、うぎゃ―――!という悲鳴とともに、こんな写真を送ってきた。

 

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 はい、タランチュラですね。ちっちゃ! うちのタラちゃん見慣れてると、こんなサイズ、か~わいい~~~って思っちゃう。

 これ、殺さないと害になるよね? と言う友人。いやいや、クモは益虫だよ、誰もいなくなった家で大繁殖するであろうゴキさんとか、せっせと食べてくれてるんだよ。

 どうすればいいの~、というので、箒でそうっと外に掃きだせば? と提案。そうっとな、箒でつぶしたりしないように。

 跳びついてこない? と怯える友人。うーん、ちょっとは跳ぶけど、そんなに跳ばない

 人間に襲い掛からない? と心配する友人。そりゃ、クモだって自分が殺されるかもってなったら、必死で反撃するよね。でも人間が襲い掛からないのに、クモから襲い掛かることはまずないし。

 とにかく、脅さないよう、つぶさないよう、そうっと、丁寧にお願いして家から出ていっていただく、くらいの気持ちで、とアドバイス

 わかった、やってみる、と友人。でもすぐに、あかんわ~~、とレスが来た。うまく誘導できないという。うーん、クモも居心地いい家から出たくないのか……。

 

 よし、じゃあ作戦第2号。なんか適当な空の容器を上からかぶせろ!

 それってけっこう接近戦やんな? と友人。そうだねえ。脅すとタランチュラといえども動きが速くなるから、脅さないよう、落ち着いて静かに、一気に。

 

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 今度は、こんなところに行っちゃった~! と報告が来る。なかなか難しいな。私がその場にいればいいんだけど、遠いからそういうわけにもいかない。子供たちは? その家にずっといるわけじゃないんでしょ? もう、そのままにしておいたら? と提案してみたけど、やっぱりもう少し滞在する(泊まるのは別のところだけど)からなあ。ということで、作戦続行。

 クモをそうっとつついて移動させよ。

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 うぬぬぬ。敵もわかっているのか、捕獲しにくいところへと逃げていく。ソファの後ろに逃げ込んだと報告。それでも友人は頑張った! ソファを動かして敵を追い詰め、とうとう!

 

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 容器をかぶせた! 偉い! よくやった!

 次はこの大きさに見合う紙(このサイズだと分厚いのがいるね、段ボールとか)を探せ。そしてそれを下から滑り込ませるのだ。

 

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 これなら大きさオッケー、と確認したうえで、

 

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 見事捕獲に成功!!! 板が黒っぽいので、タランチュラ見えにくいけど、しっかり入ってます。

 

 いやあ、頑張った! お疲れさま!

 下から紙なり板なりを滑り込ませるとき、うまくできないと、クモの足を挟んじゃったりしてちょん切れる危険性もある。でも、お腹をぐちゃっとかしなければ、足くらいは取れても大丈夫。次の脱皮でまた生えてくるから。

 で、これを私にお土産に? ってちょっとびくつきながらw訊かれたんだけどw いやあ、私も実はものすごく心揺らいだ。写真ではよく見えないけど、たぶんうちのタラちゃんと同じメキシカンレッドランプだと思うんよね。まだ中サイズだし、育ててどんどん大きくなるところを見てみたい気もする*3。もしかしてオスだったりしたら……タラちゃんとお見合いして卵産んだりして、タラちゃんの子育てを見られるかもしれない。でもなあ、卵、一回で数百匹だしなw うん、やっぱりやめとくわ。

 それにまあ、基本、野生動物を捕まえて飼育するのは違法だしね(あれこれすでにやってるけど、すいません)。友人を犯罪者にするわけにはいかん。

 というわけで、清く正しい野生動物の扱いとして、無傷で捕らえて野に放つ。偉いッ!

 

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 最後に来た写真w 何これ、ホールケーキかッ! とツッコんだけど、これだけ大活躍した友人でもやっぱりまだ怖くて、恐る恐る持ってって、庭に放したそうなw ていうか、この持ち方のほうが私は怖いわw ちょっと傾いて容器がずれたらどーすんだw しっかり上下押さえてなくてもいいのかッ!?

 この写真も、顔隠したらブログに載せていいよと言われたので、隠しておきました。

 

 

 去年も、近所のメキシコ人家族が、うちのカメンコを見て子供たちがリクガメほしい~!となって、ずいぶん探してようやく手に入れたリクガメ(テキサスゴファーガメ)を2ヵ月ほどで死なせてしまったとかで、どうしてもっと相談してくれなかったのか、いろいろと打てる手はあったのに……。

 などと後悔する事例もあるけど、こんなふうに遠隔であっても、友人がちゃんと勇気を出して動いてくれて、一匹でも動物を無駄に死なせずにすんだら、本当にうれしい。そして友人もその子供たちも、こういう経験を積み重ねて、次のときには私がいなくてもきっと上手に対応してくれるだろうし、それをまた見て学んでくれる人がいて……。

 ドイツにいたころ「自由とは何か」という命題に興味を持っていたことがあって、ダンナ(当時はまだ彼氏だったけど)が「自由とは知識だ」と言った。へ? と思ったら、知識があれば正しい判断を下してより自由な行動が取れる、と。なるほどなあ。

 ヘビを見れば、毒蛇か無毒か知らないままに殺してしまう人もいるわけで。たとえ毒蛇であっても、扱い方を知っていれば殺さずに済むし。タランチュラも同じこと。噛まれたら死ぬ(嘘です)とか、跳びついてくる(まずめったにない、少なくともメキシコのは)とか、知らなかったら怖いのはわかる。私がどんなに「大丈夫!」と言ったって、やっぱり怖いって言う人もいるだろうな。私だって、専門家じゃないし、タラちゃん一匹のわずかな経験で軽々しく「大丈夫」なんて言っていいのか? と言われたら困る。でもそれはどんな専門家でも、断言できることってのはめったにない。

 私にタラちゃんを持ってきてくれた掃除のおばさんとその旦那さん、よく行くランチョ(農場)では、子供たちはこのタランチュラを腕に載せて遊んでいるそうな。それもまた、扱い方をよく心得ているからだよね。知識は自由をもたらす。わずかな知識でも、たとえ一人にでも、正しい知識が広まっていきますように(お! 新年の抱負っぽく締めくくったぞ!)。

*1:タランチュラの和名

*2:生前は私も友人のごとくお付き合いいただいた、とっても良い姑さんでした

*3:今のタラちゃんはすでにフルアダルトサイズでうちに来たから