南国の隅っこ(新)

メキシコ南部の田舎町でカメとイグアナと犬と猫と鳥と暮らしてます。日々の記録。

カメの産卵についての一般知識

 今年になってからドロガメの話しかしてない気がするw

 近所に日本人がふたりも引っ越してきて、それぞれに小さいお子さんたちがいたりして、やっぱり子供は動物が好きだからあれこれ質問もしてくるし、大人の友人たちにとってもカメの生態ってのはいろいろ謎らしくて、私はと言えばちゃんとしたカメ飼育を始めてやっと4,5年と日は浅いものの、そのあいだに蓄積したこまごました知識も、友人たちにとっては「へえー!」だったりして、私のほうは「そうか、カメに縁のない人にはこの前提もないんだ!」というちょっと前までの自分の状態も忘れてて新鮮だったり。

 あと、今回のドロガメ産卵でいろいろサイト検索していたら、「カメ」のひとくくりですべてに共通のように書かれているなかにも、そうじゃないのもいるけどなあ、と思うようなのもあったり。なので、私なりに自分の頭の整理も兼ねて、ちょっとまとめてみようかな。イグアナについてもついでにメモ程度で。

 とはいっても私もまだまだ駆け出し、しかも大した個体数も種類数も飼ってないので、あくまで私の知識の範囲内ってことで、ツッコミや間違い指摘は歓迎です。今回は主に、生殖行動や産卵に関すること中心で、思いつく点を箇条書きに。


  • メスは成熟すると交尾していなくても産卵する(その場合はもちろん無精卵)(イグアナも同様)
  • メスの性成熟までの年数は種類や環境によりけり、うちの場合はクジャコが3歳で初産卵したのがいちばん明確な年齢記録。イグコは2歳未満。
  • 水棲ガメも産卵は陸地で、尿で土を湿らせながら後ろ足で穴を掘って産卵し埋めるタイプ、落ち葉などの下に産むタイプなど。飼育下では水中で産んだり、その辺で産んだりするらしい(イグアナも同様)
  • 1シーズンに産卵は数回(クラッチ)に分けてすることが多い(イグアナは一回に全部産む)。1クラッチの産卵数は種類により1個(ミゾッチ)から数個(ポチコ、ポチオ)、数十個(クジャコ、シロコ)と幅あり
  • 卵殻は、トカゲのように柔らかいタイプ(クジャクガメ、グリーンイグアナ)と、鶏卵のように硬いタイプ(ミゾヤマガメ、シロクチドロガメ)がある。柔らかいタイプは無精卵だと間もなく凹んで変形する。硬いタイプは無精卵でも卵殻には変化なし。

  • 交尾は、うちのように季節差がほとんどない地域ではわりと年じゅうやったりするらしい。産卵もさほどきっちり決まったシーズンにということはない。(イグアナは12月から2月あたりが発情期、産卵期)
  • 季節差の大きい地域のカメ、あるいは飼育下で温度差が大きい場合は、冬眠から覚めたタイミングで交尾、産卵の場合が多い?
  • 求愛行動は種類によってさまざま。オスがメスに噛みついたりして怪我をさせる場合もあるとか(イグアナも同様)。
  • カメはメスのほうがオスより大型になる種類が多い、かな? シロクチドロガメはオスのほうが大きくなるとのこと。

  • 孵化するカメの性別は、性遺伝子で決まる種類もある(グリーンイグアナも遺伝子決定)が、卵が孵化するまでの温度で決まる「温度依存性決定(TSD:temperature-dependent sex-determination)」が主流
  • TSDには3パターンあり、

  1.低温だとオス、高温だとメスが生まれる(TSD Ia)(クジャクガメ、ミゾヤマガメ)

  2.低温でメス、高温でオスになる(TSD Ib)

  3.低温と高温でメス、中間温度でオスになる(TSD II)(シロクチドロガメ)

  • この温度は、発生途中に性決定期間があり、そのときの温度と思われる
  • 種類と温度によってはオスとメスが半々になる場合も
  • 温度が高いほうが孵化までの日数は基本的に短くなるので、ブリーディングによって流通するカメの性別が偏りがち?
  • とはいうものの、わからないことも多くて、温度でオスメス完璧に思い通りに作り出せるわけではない、らしい

  • 有精卵は発生が始まると(通常産卵から24〜48時間程度、でも何日・何週間も経ってから始まる場合も)不透明な部分が現れ、帯状に広がっていく(イグアナでは帯状ではなく円盤状の白濁部分が出る)
  • 鳥の卵にはあるカラザが、爬虫類の卵にはないので、発生が始まってから卵の向きを変えると胚が死んでしまう(※1)
  • 産卵から孵化までは、種類と環境温度によりけりだが、2ヵ月から6ヶ月くらいとかなり幅がある。一年以上かけて孵化する例も
  • いったん発生が始まった卵でも、乾燥や低温などによって、あるいはそれ以外の原因不明なきっかけで、発生が途中で止まることがある。その場合、胚が死んでしまわずに休眠状態で、何らかの解除刺激で再び発生が進行し、無事に産まれることも(特にドロガメには多い様子)
  • 孵化した子ガメにはヨークサックがお腹についていることが多く、孵化後数日はその栄養だけで生きていける。ヨークサックを吸収し終わると餌を食べ始める(※2)
  • ウミガメのように、一度に産み落とされた卵がいっせいに孵化するのではなく、時間差が出るのが普通(イグアナも同様だが、自然界では土のなかで孵化するので、ある程度の数がそろってから地上へと出てきてしばらくはグループ行動する)

(※1)アノールトカゲの場合、植え替え中に鉢から転がり出て上下がわからなくなったものについては、水に沈めて転がしてみると、胚を上にして止まるので、そのポジションで土に置いて無事に孵化させられる。カメの卵に応用した経験はないですが。

(※2)アノールで一匹だけヨークサックつけたまま孵化した子がいた。卵に割れ目ができちゃったから未熟児で生まれた可能性があったけど、その後ちゃんと生き延びられたんだろうか……?



 今のところ私の知識が届く範囲で思いつくのはこれくらい……。また何か思いついたら追記します。