南国の隅っこ(新)

メキシコ南部の田舎町でカメとイグアナと犬と猫と鳥と暮らしてます。日々の記録。

ン十年前の生物学実習スケッチ

 最近話題がまた乏しいので……。

 昨日、イグリンコが本棚のてっぺんでおしっこしやがったーーー! まあやや防水の箱の蓋を本にかぶせていたので、すべて滴り落ちたんだけどね、ウンチ以外は。このごろあんまり構ってやらないと、変なところでおしっこする気がするんだけど、気のせいかなあ?

 ほとんど被害はなかったけど、ただ、その真下、下のほうの大判本の上に水平に突っ込んでいた紙類が多少濡れた。イグアナのおしっこってほとんど臭わないので、乾けばいいんだけどさー。古いカレンダーのオオカミの写真はもう捨てようかなと思ってたし、それと一緒に置いていたのは、日本の大学時代のスケッチ。A3サイズの画用紙はフォルダとかに収まらないので、そのまま突っ込んでいて、すでに犬や猫たちにかじられて端はボロボロ、埃だらけ、変色してセピア色、という代物だったので、この際だし、スキャンだけして処分することに。ついでなので、A4用紙のスケッチも、こちらはビニールシートに入れて保存してるので変色の度合いは少ないけど、まあいちおうってことでスキャン。


 そのスケッチをご披露いたします。ゴキさんとか、ネズミの内臓とかもあるけど、鉛筆画だからそんなにエグくないとは思いますが、苦手なかたは閲覧注意です。


 まずはかわいい(?)ところから。トウモロコシの維管束。

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 ミドリムシ。我ながら、いいのかこんなに名称の書き込み少なくて?とツッコミ。でも検閲?のハンコ押してあるから、これで合格だったんだろうなあ。

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 アメーバ。

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 このあたりは、小学生のころに読んだ畑正憲の『生きる』という本(これで私は自分がやりたいことが生物学というのだと知った)でさんざん読んで馴染んでいた生きもので、実際の偽足の動きなんかを見ることができて楽しかったなー。

 記憶が朧だけど、この実習は午後の4時間ぶっ通しだったはず。それだけの時間をかけて、アメーバ一匹とかゾウリムシ一匹をスケッチするので、かなーーーり根気のいる作業ではあった。このスケッチのルールとして、線と点のみ、塗りつぶしは禁止だったので、濃淡をつけるためにはひたすら点描。確か、2Hとかの硬めの鉛筆を使ってました。


 ゾウリムシ。周囲の繊毛がとっても繊細で、それを表現すべくものすごく細く描いているので、それが変色した紙のせいもあってほとんど見えない。

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 日本の大学2年間、教養課程とは言ってもすでに専門の講義や実習もあったので、その辺のこういうスケッチやノートは全部ドイツに持っていってた(貴重な参考書ですから)。で、ドイツで同じような実習をすることになったとき、日本でやってるからとこのスケッチを見せて、ネズミやニワトリの解剖を免除してもらおうとした。それで一匹でも殺される被験体が減るから。で、結局免除にはならなかった気がするけど、どうだっけ? 一部に、ドイツ語名称を書き込んで、名前もアルファベットで書いているので、提出はしたんだと思う。

 で、やっぱりA4サイズにでかでかとゾウリムシってのはインパクトがあって、なんか教授や助手、学生たちにもめっちゃ受けた。教授のひとりは、コピーさせてくれと言ってきたw コピーして何にしたんだか知らないけど、拒絶する理由もなくてオッケーしましたけどね。


 そろそろちょっと人によってはグロいのが出てきます。ショウジョウバエ

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 ショウジョウバエってあんなにちっちゃいのに、顕微鏡で見ると、毛の生え方にもきっちり法則があって、感動。遺伝学の研究によく使われるのは、遺伝する変異形質がいろいろあるのも理由のひとつで、部分スケッチしているのはその形質のあれこれ。翼の形が違うとか、目の形が違うとか。


 クルマエビ。これ、確か、足とかはスケッチのためにばらしたけど、本体はそのままだったので、各自家に持って帰って食べたんだっけか? ま、ひとり一匹だけどね。資源の無駄遣いはしない生物学科でしたw

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 コイ。これはドイツでも提出したものっぽい。

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 まあ魚はわりと、中学とか高校でも解剖してたので、あんまり新鮮味はなかったなー。


 ハツカネズミ。

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 これも、真っ白で小さくてかわいいので、誰が言い出したんだったか忘れたけど、みんなで先生に提案、ふたりで一匹解剖すれば半数のネズミが命拾いします! ってことで人数分支給されていたネズミの半分はほしい人がもらって帰って家で飼うことに。私ももちろん一匹もらって帰ったんだが……ううう、白状すると、父親に怒られ、臭いから外で飼えよ!と言われてケースに入れて外に出してたら凍死してしまった、という結末。今思えば当たり前なんだけど、当時はそういう知恵がなかったんだよね……。それで学んだから、ニャンタの兄弟猫を外に出すなんてと言えるようになったのかもしれない。アダルトかベビーかの違いはあるとしても。


 ニワトリの雛の発生過程。これはどういう状況でスケッチしたんだっけな? 標本とかだったっけ? 各ステージをスケッチしてるけど、自分たちで育てた覚えは日本ではない。ドイツでは鶏卵に窓を付けて、孵卵器で育てて観察・スケッチしたけど。

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 そして最後に、チャバネゴキブリ。私が通った日本の大学の生物学科には、ゴキブリを実験材料に研究している教授がいて、一匹500円(当時)の無菌ゴキブリをザワザワとケースに入れて持ってこられて、各自一匹ずつ捕まえて息の根を止めてスケッチ。A3用紙だったので、スキャナに収まらず、二回に分けてスキャンしてつないだもので、しかもA3用紙のなかでもいちばん変色が激しい。それに、なんか他のスケッチより気合が入ってないようにも見えるw けどこの時間でこれともう一枚A4用紙にも細かい器官のスケッチとかもして、課題が多かったので、全体像に費やせる時間が少なかったのが理由かと。

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 A3用紙は他にも数枚あったんだけど、植物ばかりだったので割愛。

 デジタル時代の今も、大学の生物学科ではこんなアナログなスケッチしてるんでしょうかねー? 当時でも、顕微鏡覗きながら、こんなの写真一枚撮ればスケッチ完了やん〜!と面倒がっている人もいたけど、まあやっぱり、スケッチすると細部まで目が届くので、それとこれは違うとは思いますけどね。