南国の隅っこ(新)

メキシコ南部の田舎町でカメとイグアナと犬と猫と鳥と暮らしてます。日々の記録。

秋田犬における事故(未満)体験記

 今日はまたお天気悪くて、ハチュたちはほとんど動きがなかったので、昔ばなし〜。


 リードの話もしたいんだけど、その前に。この前書いた、上下関係より信頼関係って話、書いてるうちにあまりに当たり前のことを書いてるような気がしてきたんだけど、書き終えてみれば、やっぱり言葉足らずだったような気もしてくる……困ったもんだw


 おりしも今日、こんな動画を某サイトで紹介しているのを見た。

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 何頭ものシェパードをリードなしで散歩できるほどしっかりしつけている男性。まあシェパードはかなりしつけやすい犬種だろうとは思うけど、それでもすごい。そしてこの動画を紹介しているサイトでは、やっぱり上下関係云々と書いているんだけど、でもこの人、犬たちと一緒のベッドで寝てるしね。

 あと、確かに、犬に接するに適した人とそうでない人、ってのもあるような気がする。もちろんきっちり二極ではなくて、このブラジル人が一方の端に(かなり近いところに)いて、反対の端には犬なんてコミュニケーション取るどころか見るのもイヤ、って人かな? そのあいだにあらゆるレベルの人がいて。

 前にもちょっと書いたけど、甘やかすかどうかがポイントのような気がする。かわいがるのはいいけど、甘やかさない。そこを、ついつい甘やかす人は、それでもちゃんとできる犬もいるだろうけど、犬の性格によっては舐められるというかね。そういうときに、犬のほうが偉いと思い込んでいて上下関係ができていない、とか言われちゃうんじゃないかなと。


 うちの前のワンコは、こんなしつけには程遠かったけど、浜に行くとノーリードにできるくらいには言うこと聞いてた。

海辺のワンコ

 これだけ人がいなければ、まあ安心?

海辺のワンコ

 何しろこんな感じだしw 

 もう少し狭いところでは、20mだったかの洗濯紐リードを引きずらせて、放していた。常に周囲に注意怠りなく、人か、あるいはもっとヤバいのは犬が近付いてきたときで、その場合はワンコがダッシュするより前にリードをつかむ。20mあれば、万が一すでにダッシュしちゃっても少し余裕がある。

 まあそれでも、ノーリードはかなり神経を使ったので、めったにしなかった。リードをつけて散歩させてても、放し飼いの犬がいくらでもいるメキシコでは、いろいろありました……。そんな事例を今日は紹介。

うちのほうが被害者だった件w

 まだワンコが1歳になるかどうかくらいだったと思う。まだ若かったので、よそのワンコを見ると遊びたがった。ある晩、いつも行く草サッカー場の隅に、たぶん隣接する家のワンコがつながれていた。ミニシュナウツァーみたいな犬だったと思う。見つけたワンコはダッシュ(念のため:襲うつもりじゃなくて遊びたいだけ)。油断していた私はリードをつかみ損ねた。

 でも相手のワンコは怖がってギャンギャン吠える。うちのワンコは、それでも何とか遊んでもらおうと、まあまあ、って感じで迫る。追いついた私は、ワンコをなだめて引き離し、いつものコースをぐるっと回って帰宅。

 家に帰りついて明るいところで見たら、うちのワンコ、鼻にひっかき傷? 噛み傷? 3cmくらいの裂傷があって出血してた。あやー、気がつかんかったわ。でもワンコは平気な顔してたし(テンション高いから、このくらい気が付かないのかも)、どうってことはなかったけど。

 ただ、この件で、相手の小型犬が反撃してきて怪我させられても、うちのワンコはそれで怒って相手を傷つけたりはしないんだな、とちょっと安心しました。もちろん、このときは幸運にも、ってことで、次も同じになるとは限らないのは充分承知したうえで。

だんだん小型犬が苦手に

 最初のころはそんな感じで、よそのワンコを見ると遊びたがってたんだけど、まあある程度の歳になってくると、ギャンギャン吠える犬はイヤそうな顔をして避けるようになった。そのほうが私としてもありがたい。というか、そういうふうにしつけてきた成果がやっと出てきたか?w いや、たぶんワンコが自分でイヤだっただけだと思うけどw

 それでも、何度かはトラブルになった。何しろ小型犬はよく放されてるし、それがまた吠えるだけじゃなくて向かってくるし、こっちはリードにつないでワンコを連れて逃げてるのに追いかけられたらどうにもならん。それでもうっかりうちのワンコが小型犬を踏んづけたりしたら致命傷を負わせることになるから、もうハラハラもんだった。

 いくつかあったトラブルのうち、忘れられない一件。近所を散歩中、一軒の家から小型犬が吠えながら飛び出してきた。うちのワンコの鼻先に飛びつくようにしてガウガウ吠えまくる。遠巻きにして見守る近所の人たち。ダンナが追い払おうとし、私はワンコのリードをしっかり握って何とか小型犬を回避しようと頑張った。

 けど、こっちが下がっても下がっても、相手はついてくるよねー。で、うちのワンコが、「もう、いやん」って感じで前足を持ち上げた。飛びつく小型犬から顔を守る感じだったし、相手には毛先ほども触ってない。だけどその瞬間、相手の犬はキャンキャンキャンー!と鳴きながら家に駆け戻った。私たち、呆然。

 ま、いいか、と先へ行こうとしたとき、その家のおじさんが出てきた。「その犬がうちのを噛んだのか!」ってすごい剣幕。私はこういうとき口を開くと、きっついこと言っちゃって事態を悪くする癖があるので、おっとり落ち着いたダンナに任せることにしていた(すでに何度かこういうシチュエーションがあった末のふたりでの話し合いの結果)。ダンナが「噛んでません」と言う。が、おじさんはしつこく「噛んだのか!」と叫ぶ。「噛んでません」と何度ダンナが言っても聞いてないよ、この人w

 あとで思えば、私がむっつり黙ってた(ムカつくけど我慢してた)のが、怪しく見えたのかもしれない。でも近所の人たちも一部始終を見てたし、うちのワンコが何もしてないことは証言してもらえると思うけどなー、と考えながら、しつこいおじさんを見てたんだけど。

 しかしあんまりしつこいので、とうとう私が口を出した。

「噛まれたかどうか、お宅の犬の体チェックしたらどうですか。怪我をしているなら、うちのかかりつけの獣医さんに連れていきましょう。ここで待ってますから、チェックしてきてください」

 しばらく我慢したおかげか、比較的冷静な発言でしたw そしたら、おじさん、急におとなしくなっちゃって、「いや、別に、噛んでないならいいんだけど」とか言いながら家に入ってった。しばらーーーーく待ってたけど出てこなかったので、そのまま帰ったけどね。

 だって、怪我してるわけないし。触ってないんだもんw


 こういうことが本当に何度も何度もあったので、私は小型犬(の飼い主さん、いちおうメキシコ人に限定しておきます)がすっかり苦手になってしまったのでしたw ワンコも小型犬苦手になったと思う。

仔犬にガウガウやっちまった

 しかし、いい子なだけではなかった、うちのワンコ(前のね、念のため)。もう7歳か8歳くらいだったと思う。いつもどおり近所を散歩していたら、子供たちが仔犬と遊んでいた。どうやら最近来たらしい、ちっちゃいラブラドールか何かの仔犬だった。その仔犬がうちのワンコに気付いて、無邪気に近付いてきた。

 私は、ヤバいと思ったので、仔犬捕まえて! と叫んだが、そこにいた子供たちは動かず。仔犬はちょこまかと近付いてきた……と思った瞬間、うちのワンコがガウガウガウ!と攻撃。血の気が引いた。

 何とかリードでうちのワンコを制御するんだが、仔犬はなぜか、キャンキャン鳴きながらうちのワンコのお腹の下に潜り込んでくる……。子供たちが甲高い悲鳴を上げるので、いっそうの修羅場に。

 結局、10秒くらいで仔犬はうちのワンコの下に潜るのをやめて、走り去った。そのときダンナはなぜか同行してなくて、私ひとり。でもこのままにはできなくて、ものすご−−−−く不安ではあったけど、仕方ない。ワンコのリードを公園のベンチにくくりつけ、待ってろよと言い聞かせて、仔犬のあとを追った。

 仔犬が逃げ込んだ家の前では、おじさんが仔犬をチェックしてた。すみません、どうですか、と訊いたら、怪我はなさそうだとのこと。私もなんでいきなりうちの犬が怒ったのかわからなくて、もし問題が出てきたら、うちはこれこれの番地ですから、言ってきてください、対応しますと伝えて、公園に戻った。ワンコはちゃんといた(盗まれてなかった)。


 こういうとき、本当に犬ってわからないと思ってしまう。ワンコには、何か理由があったんだろうけど……。それがわからないから、いきなりに見えてしまう。

 前に、仔猫を拾ったことがあって(二週間ほどで死んでしまったけど)、その仔猫にガウガウしたこともあった。でもそれは、見てなかったけど(仔猫が床にいて、ワンコが鼻を近付け……ガウガウ。もう、猫死んだ、と思ったね……)たぶん仔猫がワンコの鼻に爪を立てたんだと思う。この仔猫もまだ小さくて、でもけっこう力はあって(生後二週間くらいの体格だけど、ひと月は経ってるとの獣医さんの診立てだった)、私もよく引っかかれて痛かった。ワンコのガウガウのあと、まったく引っかかなくなった。少し怯えていたけど、しばらく抱っこしたらまた元どおりになり、怪我もしてなかった。

 すごいなー、ワンコのしつけは完璧だなと感動しましたね、そのときは。


 あとから思えば、同じ感じのガウガウだったから、仔犬が何かうちのワンコの気に食わないことをしたんだろうけど、それが何なのかは今でもわからない。単に、虫の居所が悪かった? それともよそのおばちゃん(犬)に対してなれなれしすぎた?

噛みつき事件

 そしてこれがある意味最大の事件だった。ある日、いつもどおりの散歩の途中。公園に近所のラブちゃんが放れていた。この子は前から何度も遭遇していて、おとなしいいい子なのでノープロブレム。でもこの日は、どこのか知らない別の犬がいた。たぶん雑種、大きめ、薄茶色のメス犬。このメス犬、ラブちゃんと仲良く遊んでたんだが、うちのワンコを見てラブちゃんが寄ってきたのが気に入らなかったのかもしれない。ギャンギャンギャンと吠えながら寄ってきた。小型犬じゃない、どっちかと言うと大型犬の部類。痩せてるので体重はうちのワンコの半分くらいだったと思うけど。

 とにかく、うちのワンコのほっぺに触るくらいの距離で吠える吠える吠える。ラブちゃんの飼い主さんがびっくりして出てきて、ラブちゃんを確保。でもメス犬はそこの家の子じゃないし、どうにもならない。私とダンナも何とかその犬を追い払おうとしてたんだけど、ぜんぜん役に立たず。

 するとそれまでむっつり黙っていたうちのワンコ、やっぱり一言も発しないままに、メス犬に噛みついた。と言っても、実は上唇の端っこを前歯ではさんだだけだったんだけど、その瞬間からしばらくは私もパニックでそんなことわからず。ダンナはもっとパニックで、悲鳴のような声を上げながらうちのワンコを何とか引き離そうとする。噛まれたワンコはきゃんきゃんとすごい悲鳴を上げ続けているけど、うちのワンコは無言で、しかし離さない。

 今思うととっても申し訳ないんだけど、私もダンナもうちのワンコの頭をぼかすか叩いた。何とか、二匹を引き離そうと、相手の犬のすごい悲鳴でパニック助長されながら、長い長い数十秒。

 で、少し頭が冷えた私、よし、もう他に手段はない、と思って、手をワンコの口に突っ込んでこじ開けた。解放されたメスワンコはさらに悲鳴を上げながら、一瞬で走り去っていった。結局、どこの犬だったのかもわからずじまい。

 でもそのあとに血が落ちてたわけでもないので(昼間だったからよく見えた)、くちびるの敏感なところをくわえられて痛かったろうし、びっくりもしたんだろうけど、怪我はしてないか、してても大したことはなかったと思う。


 いやはや、ダンナはウンチ袋を持った手でワンコの頭を殴ってたので、袋が破れて悲惨なことに……(>_<、) 家に帰ってワンコをチェックしたら、目が充血してた。たぶん私たちに殴られたせいだと思う、すまんかった、本当にすまんかった。

 そして、この事件のあとで、いろいろ検索した。犬が喧嘩になった場合、どう対処すべきか? バケツの水をぶっかける、とか。噛みついたのをやめさせようと口に手を入れてはいけません(こっちが噛まれる)、って書いてあった(・ω・) よその犬と喧嘩になりそうになった秋田犬、飼い主さんが止めようとして首筋に腕を回したら、飼い犬である秋田犬が振り向きざま飼い主さん(女性)の顔に噛みつき、大怪我させたとか……。取っ組み合いの喧嘩になってしまったら、リードを放して見守るしかない、とか。


 でも、あとあといろいろ思い出してみると、あの騒動のさなかでいちばん冷静だったのはうちのワンコだったのでは、と思えてくる。一度も吠えなかったし、唸りもしなかった。かぷ、と相手の口元を(怪我はしない程度に)保定して、それによって相手が噛みつけないようにした。私が手を突っ込んでも、手を噛むことはなかった。

 これは贔屓目に過ぎるかもだけど、そもそも噛みついたのは、その犬を何とか追い払おうとしていた私やダンナに、メス犬が噛みつこうとしたのかもしれない。焦りまくってた人間は気付いてなかったけど、うるさいなあと思いながらも冷静だったワンコはその気配を察知したのかも。あるいは単純に、メス犬がワンコに噛みつきかけたので反撃したのかもしれないけど。

 とにかく、相手に大きな怪我をさせたわけではなかったことは安心したけど、こんなことが起こりうると想定してなかっただけにショックは大きかった。次は冷静に対処するぞといろいろ脳内シミュレーションを重ねたが、まあこんなことはもう二度となかったけどね。

 それと、今でも覚えているのは、この事件の直後、帰宅してワンコの様子を見てやろうとした私に、媚びるでもなく拒絶するでもなく、ただ凛とした表情で立ってたワンコの姿と顔つき。あんな顔は、めったに見なかったから。

笑うワンコ4

 だいたいは、こういう締まりのない顔してたもんねー。

 他にもいくつか小さい事件はあったけど、この最後のふたつは特に印象に残っている。秋田犬らしい、というか、日本犬らしい、予測できない頑固さというのかな。そういうものを見せられた気がする。

 今のワンコは、まったく性格が違うので、こういうことはまず起こりそうにないけど、でも最近(2歳になった)は、猫たちに対して自分のご飯やおやつを守って軽く唸るし、自己主張する年齢になってきてるのかも。でも、たとえば私がワンコのフードにツナを混ぜてやるとき、ニャンコは次は自分たちの番とわかっててテーブルの上で待つのに、ニャンタはそれがわかっていても待ちきれなくて、ワンコのお椀に顔を突っ込む。私がいれば、ニャンタにそうはさせない、ってのはワンコもわかっているようで、そのときは唸ったりしないんだけど、食べ始めて私がそばを離れ、そこにニャンタがやってくるとグルルと牽制する。

 これから精神的にも大人になって、今のワンコも少し変わってくるのかもしれない。「事件」を起こさないよう気を付けるつもりではいますが。前のワンコでのいろいろな経験もあるから、対処も少しはマシにできると思うしね。


 こういうプチ修羅場を経験してきたのに、上下関係じゃなくて信頼関係、とか言ってる私は甘いのかもしれない。信頼、本当にしてるのか? と言われると、100%じゃなくて、99.99%くらいだけ、かもしれない。でもそれは、犬に限らず、猫でもイグアナでも、それに人同士でも同じだと思うんだよね。人だって、やっぱり他人なんだから、どんなに信頼していても、予想を裏切られることはいくらでもある、裏切られることだってある、と思う。人間不信、と言われると反論できないけどw、そういうのでもないと思うんだけどねw 

 とにかく、前のワンコ、事件簿でした。けっこうトンデモない犬かな、やっぱり?